--磯崎新アトリエ インタビュー--
Sorry, japanese only. ----update 99.06.21
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佐藤健司(磯崎アトリエ)
菊池誠(磯崎アトリエ)
聞き手:濱野慶彦(AALab)

コンピュータ利用環境
(濱野)今日はネットワークコラボレーションの事例調査としてお話を伺いにきたのですが、まずコンピュータなどの機器環境について、教えて頂けますか。
(佐藤)コンピュータは基本的に1人に1台、何名かが2台を使用しています。殆どがW INDOWSマシンですが、100MHz以下の古いマシーンが結構あります。メモリーは大体64MB〜128MBでしょうか。他にレンダリング用に333MHzのマシンがあります。
(濱野)ソフトはどういうものを使用していますか。
(佐藤)CADはAutoCadが10本ほどとその他がAutoCadLTです。ほぼスタッフ全員が使用しています。レンダリングはTrueSpaceとFormZ、テキスト系の入力は一般的なWordやExcel、PageMakerなどです。他にはPhotoShopなどを使用しています。
(濱野)ネットワーク環境は如何ですか。
(佐藤)今は特にサーバーを設けている訳ではなく、Windows NTやWindows95に標準のネットワーク機能を用いてピアツーピアで繋いでいます。ネットワークは主にデータのやり取りに利用しているので、一元管理されているよりは個々のハードディスクで分散管理されていた方が、バックアップ対策として便利な場合もあります。磯崎アトリエでの実際のプロジェクト・チームの進め方を考えると、このような泥なわ式のネットワークのほうがふさわしいのではと思えることもあります。インターネットや電子メールは、現在、試験的にUNIXサーバーを立ち上げているところで、各マシンからアクセス可能な状態になっています。

コンピュータ利用による設計の変化
(濱野)磯崎アトリエでは10年以上も前から、ちょうど大手建設会社がCADを導入し始めるた頃とほぼ同時にCADの利用を始めてられていましたが、それ以降何か設計プロセスに変化がありましたか。
(佐藤)そうですね、磯崎とスタッフの間で打ち合わせをしながら設計を進めていく、基本的なプロセスに変化はありませんが、形状の検討や図面化のプロセスはCADやCGを使うことで随分便利になったと思います。
(菊池)最も変わったことといえば、我々自身がモデリングやレンダリングを行っていることかもしれませんね。
(濱野)というと。
(佐藤)つまりプロジェクトマネジャーが、結構過酷なモデリングやレンダリングをやっているということです。それを基に、スタッフが平面や立断面を作成する訳ですが、おそらく一般的には、モデリングやレンダリングを担当するのは若手スタッフというところが多いと思います。
(菊池)3D-CADを用いる以前には断面を描いてスタディしていたのですが、空間の検討という意味ではプロジェクトの責任者がモデリングを行うのは、まぁ正当なことだとはいえますね。
(濱野)なるほど。設計者の3D-CADに対するスキルの問題はありますが、なかなか興味深いお話ですね。ところで、佐藤さんや菊池さんは奈良のコンサート・ホールや静岡のコンサート・ホールで自作のプログラムを活用されていますが、プログラミングに関してはどうですか。これについては京都コンサート・ホールや「海市」などで私も関わっているので、聴いてみたいのですが。
(佐藤)プログラミングに関しては、デザイン・シミュレーションの1つの手法であり、形態生成のプラクティカルな手段でもある訳ですが、個人的な興味についていえば、コンピュータ自身のアーキテクチャー、つまりCPUやメモリーの構造、OSやプログラミング言語などのアーキテクチャーということですが、そうしたものが逆に、建築(アーキテクチャー)に刺激を与えると感じています。

ネットワークの利用
(濱野)次はネットワークに関してですが、これまでのプロジェクトでネットワークを利用した具体的な事例を教えて頂けませんか。
(佐藤)96年にメルボルンのコンペで、地元の設計事務所と図面や電子メールのやり取りを行っています。最近で言えば、COSIミュージアムのプロジェクトでアメリカの事務所と3Dモデルや図面などをインターネットで交換しながら、設計を進めた事例があります。
(濱野)事務所内での電子メールの活用については如何ですか。
(佐藤)現場事務所や幾つかに分かれている事務所間では利用していますが、基本的に磯崎アトリエ程度の小規模な環境内では必要性が乏しいと思います。

ネットワークコラボレーション
(濱野)今日はネットワークコラボレーションについてお話を伺うために来た訳ですが、これについては如何でしょう。
(佐藤)現在、事務所内でそうした試みはなされていません。また、事務所の形態としても、難しい問題だと思います。ただ、97年の4月〜7月にICCで開かれた「海市」展では、ICCのサーバーにホームページを設け、インターネットを介して展覧会に参加できるシステムを作りました。この試みがネットワークコラボレーションといえるかどうかは分かりませんが。
(濱野)私自身も参加しているので、こんなことを聴くのは白々しいのですが、具体的に「海市」展について説明して頂けませんか。
(佐藤)「海市」展はマカオ沖の南支那海上に構想されている「海市」(人工島)を舞台に、次の4つの異なったモデルを展開しました。

<プロトタイプ>.......すでに広州珠海市にむけて提案されている案
<シグネチャーズ>...世界の著名建築家30人ほどの参加によるデジャヴュ・モデルのコラージュ
<ヴィジターズ>.......1 2人のアーキテクトによる週ごとの連鎖的(連歌風)制作
<インターネット>...ネットワークを介して送られてくる予知できない情報によるプランニング

この展覧会では制作プロセスを公開し、多様なネットワークを介した参加型のワークショップを運営することで、マスタープランを持たない都市構想の可能性を試した訳です。
(濱野)佐藤さんが主に関わった<インターネット>のセクションは如何でした。
(佐藤)アンケートや電子メールなどで送られてきた、意見や感想などを展示に反映するといった、不特定多数の人々との初歩的なコラボレーションを試みた訳ですが、一方ではネットワーク自体の生成過程をスタディする目的もありました。
(濱野)具体的には。
(佐藤)例えば、「海市」の各エリアに対して、インターネットを通してアクセスされる回数をパラメータとして、場のポテンシャル・マップを表現するシステムや、仮想的なインフラストラクチャーのネットワークを自動生成するプログラムなどの制作です。これらはネットワークの生成過程をシミュレートすることで、不確定で偶発的な都市の自己組織化のシステムをスタディする試みといえます。
(濱野)「海市」展を終えて全体としてどういった感想をお持ちですか。
(佐藤)コラボレーションということでいえば、その可能性と不可能性を同時に感じたというのが実感でしょうか。
(濱野)今日はどうも有り難うございました。

(1998.3.31)


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