■ 概説
  磯崎新アトリエのプロジェクト「海市」計画は、中国の珠海市に計画された面積約4haの人工島計画です。ここでは、街路パターンの発生過程を人工生命のアルゴリズムを利用して、シミュレーションする試みを行いました。これは、一見すると複雑でランダムな生命現象や、都市の形成過程に対して、ある単純なルールを適用し、その現象を再現しようとするものです。与条件も少なく、白紙に近い状態から計画できる人工島は、こうした考えを応用するものとして最適と思われます。
  敷地内にランダムに配した各点は、それぞれが自ら移動しながら、時間的に強さを変える引力を持つといった、単純なルールが課せられています。ある時点で引力が強い点が、近傍の点を引き寄せて大きく成長し、力関係が変われば、今度は別の点が成長する。そうして集合離散を繰り返すうちに、都市の発生課程を思わせる様相が現れてきます。各点を人に見立て、点が集合した場所を広場に、点の移動経路を街路に置き換えることで、都市の街路パターンが出来上がる訳です。(下図)
  また初期設定や引力の強さ、周期などのパラメータを変化させたり、ジェネレーションの違いによって、様々な街路パターンを生成することが可能です。幾度かパラメータを変えることで、それらのパターンが既存の集落や都市の街路に類似することもあり、大変興味深く感じられました。この方法は、都市計画に於けるグリッドの呪縛から逃れ、自然発生的な都市形成のシミュレーションを行う場合に、特に有効な方法です。

●関連事項
  「海市」展
  「ベネチア・ビエンナーレ」
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